「椿の移植」に関する質問の回答③

2013年の夏明け、地植えの挿木椿が枯れたと言うお話を数件頂いたのを思い出しました。

接木で植栽されているお客様はそのような事はないのですが、仕組みを説明します。

挿木苗は椿の根(自根)になります。特徴としては、

①発根の絶対量が少ない ②発根のペースが遅い ②根が伸び続ける(走ると表現します)

①②は木の成長が遅いので、根の張りが遅いと言うのはなんとなく分かって頂けると思いますが問題は③

「夏は乾くから、椿の木の根元にしっかりと水をあげていた」と皆さん言われるのですが、実際に水を吸い上げる根がそこには存在しないという事実です。

地植えした挿木椿は水を吸う根がだんだんと遠くになってゆき、温度を求め地表近くに張るようになるので水切れしやすいのです。

対策としては発根しやすい5月~6月に根切りと言う作業をおススメします。

幹回りの長さ(円周長さ)×1.2倍~1.5倍の位置を、スコップで2、3か所をザクッと土へ差し込めばOK。次の年は去年と違う場所を根切りします。(そのあとは水やりをしてあげてくださいね。)

そんな事もあり、販売している挿木の一品物や苗は鉢植えでの管理をおススメしております。

接木苗はサザンカ(当園は品種「勘次郎」を絶対に使用)根を借りて(という表現とさせてください)上の椿が育ちます。

なので接木苗は上記の問題をしっかり解決しています。

発根も多く、温度が低くても根を出しやすく、根が伸びると同時に脇の根も出す=発根量が自然と多くなるという仕組みになります。

本日のまとめ。。。

「根は「水」「栄養」を吸収するとても大事な部分です。 大切に育てた椿が枯れないよう根を大切にしましょう!」

若干分かりにくい表現もあるかと思いますが、トラブル解決の目安として当園として持っている知識の一部となります。

上記が絶対と言うわけでは決してありません。ご了承ください。

今後も佐藤椿園をよろしくお願い致します。 三代目 佐藤幹大

椿な人達

椿園三代目園主 佐藤 幹大

椿園三代目園主
佐藤 幹大

椿園は昭和23年の創業以来、椿樹木を専門に生産・販売を行っています。育種家としては一重の筒咲を中心としたツバキらしい「美しい椿」の作出にも取組み、三代に渡り作り出した園芸品種椿は300品種に迫っている。代表的な作出・命名品種:千羽鶴、初音、陣屋の椿、月照など。